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農薬の取扱いについて

農薬の安全な取扱い方

作業上の注意

農薬のラベルを必ず読む

農薬のラベルには、作物名、適用病害虫雑草名、使用濃度、使用量、使用時期、使用回数、注意事項など効果的、安全に使うために必要最小限の事項が表示されています。使用に先立ち必ずラベルを読み、記載事項を守って作業して下さい。また適用作物以外には使用しないで下さい。特に初めて使用する場合は、病害虫防除所等関係機関の指導を受けて下さい。

散布機具を点検、整備する

周辺への危被害防止の対策を徹底する

散布器具、容器の洗浄水及び残液は、河川等に流さず、周囲に影響のない地点を選び、適切に処分し、空袋、空容器等は関係法令を遵守し、廃棄物処理業者に処理を委託する等により適切に処分して下さい。

水源地(池)、飲料水等に薬剤が飛散、流入しないよう十分注意して下さい。

事前に健康を確かめ、体調の悪い人、病弱な人、お年寄り、子供には散布させない

保護具を準備する

散布作業(特に以下の項目内容を遵守してください。)

帽子、農薬用マスク、メガネ、ゴム手袋、ゴム長靴、防水性の防除衣などを着用し、薬剤が皮膚にかかったり、眼に入ったり、吸い込んだりしないように注意する。

夏の日中を避け、朝夕の涼しい、風の少ない時間帯を選んで作業する(強風時には散布しない)。また風のある時は、風上から風下に向けて散布し、薬剤を身体に浴びないように注意する。一人で長時間、または連日の散布を避ける。

作業中の喫煙、飲食はやめる。

作業後は身体を石けんでよく洗い、うがいをする。当日は飲酒などは避け、睡眠を十分にとり休養をはかる。

作業後、身体に異常を感じたら、自分で判断せずに医師の診断をうける。

使用した機具はきれいに洗い、作業衣は他と分けて洗濯する。

散布液は早めに使い切る。

取扱い及び保管上の注意

農薬の保管は食品類と区別するとともに、農薬に対する知識のない子供や第三者が、直接触れたり持ち出すことのないよう、事故防止のために十分な配慮が必要です。

保管庫には必ずカギをかける

倉庫や納屋などに専用の保管場所を定め、保管します。毒物・劇物の場合、必ずカギをかけて保管します。

保管場所は冷涼・乾燥した一定の場所

農薬は直射日光の当る所、湿気の多い所などに置かないで下さい。保管場所は、直射日光の当らない、涼しい、乾燥した所に食品と区別して保管します。
火気注意あるいは、火気厳禁と表示されている農薬(消防法該当品目)は火気をさけて保管します。なお、粉・粒剤や水和剤などは、地面や床に直接置くと湿気で品質が損なわれる恐れがあるので、棚などに分類、整理して保管します。また、地震のことも考え、割れやすいものは高いところに置かないなどの配慮も必要です。

容器の移し換えは絶対にしない

農薬を牛乳ビンやその他の容器へ移し換えたりすると、誤用、誤飲などの事故につながるので、絶対にやめましょう。

除草剤は他の農薬と離して保管

除草剤は他の農薬と混ったり、誤って散布すると作物に対して思わぬ薬害を引き起こすことがあります。除草剤は他の農薬と区分して保管しましょう。

有効期限に注意する

農薬のラベルや外装には、その農薬の最終有効年月が表示されています。有効期限が切れても、その日から直ちに効果がなくなるわけではありませんが、有効年月に注意し、有効期限内に古いものから使用するようにしましょう。

その他の注意

保管に当って、特別に注意を要する農薬は、ラベルに保管方法が示されていますので、表示に従って保管しましょう。

漏出時の措置

粉剤・粒剤・水和剤等固体、粉体の場合、保護具を着用し、粉じんが飛散しないように注意して掃き取り、密封できる容器に回収する。
乳剤・液剤等液体の場合、保護具を着用し、砂・ウエス等に吸収させて密封できる容器に回収する。汚染場所は水などで洗浄する。

廃棄上の注意

粉剤・粒剤等固体・原液散布剤の場合、使用量に合わせ秤量し、使い切る。空袋(空容器)は圃場などに放置せず環境に影響のないよう適切に処理する。
乳剤・液剤・水和剤等の希釈する薬剤の場合、使用量に合わせ薬液を調製し、使い切る。空容器(空ビン・空缶)は圃場などに放置せず、3回以上水洗し、環境に影響のないよう適切に処理する。洗浄水はタンクに入れる。

輸送上の注意

移送取扱いは、ていねいに行い、転倒・落下・損傷することがないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。

火災時の措置

初期火災の場合、適切な保護具を着用し、消火剤等で消火に努める。

エアゾール製品の注意

高圧ガスを使用した可燃性の製品であり、危険なため、下記の注意事項を守って下さい。

炎や火気の近くで使用しないこと。

火気を使用している室内で、大量に使用しないこと。

高温にすると破裂の危険があるため、直射日光の当たる所や火気の近くなど温度が40℃以上となるところに置かないこと。

火の中にいれないこと。

使い切って捨てること。

空中散布・無人航空機散布上の注意

散布は各散布機種の散布基準に従って実施すること。

少量散布の場合には、微量散布装置以外の散布器具は使用しないこと。

無人航空機による散布にあたっては、散布機種に適合した散布装置を使用すること。

散布中、薬液が漏れないように機体の散布用配管、その他散布装置の十分な点検を行うこと。

少量散布の場合には、特定の農薬(混用可能であることが確認されているもの)を除いて原則として他の農薬との混用は行わないこと。

散布薬液の飛散によって他の動植物(特にあぶらな科作物、ひのき、桑、さといも、ソルゴ等の農作物、養蚕、養蜂等)や、自動車の塗装等に被害を与えるおそれがあるなど各分野に影響があるので、散布区域内及び周辺の諸物件に十分留意すること。

水源地(池)、飲料用水等に薬剤が飛散流入しないように十分注意すること。

散布終了後は次の項目を守ること。
(a)使用後の空の容器は放置せず、関係法令を遵守し、適切に処分すること。
(b)機体の散布装置は十分洗浄し、薬液タンクの洗浄廃液は安全な場所に処理すること。

注意喚起マーク 絵表示について

農薬のラベルには「効果・薬害等の注意」と、「安全使用上の注意」を記載しています。
農薬工業会で定めた絵表示の標記方法は以下の通りです。

絵表示の基本例型

  • 注意・警告

    記号は、注意(警告を含む)を促す行為を告げるものです。図は具体的な注意・警告内容を記載する標題につけます。

  • 不浸透性手袋着用

    記号は、行為を強制すること(必ずすること)を告げるものです。図の中や近くに具体的な強制内容を示しています。(左図の場合は不浸透性手袋着用を意味しています)

  • 河川流出禁止

    記号は、禁止(してはいけないこと)の行為を告げるものです。図の中や近くに具体的な禁止内容を示しています。(左図の場合は河川流出禁止を意味しています)

絵表示の具体例

注意・警告マーク

注意事項のタイトルの前に記載します。
色:黒(又は文字使用色)

【例】

  • 注意・警告

    効果・薬害等の注意

  • 注意・警告

    安全使用上の注意

  • 誤って使用すると人が死亡又は重傷を負う可能性が予測される場合に警告表示として記載します。

    注意・警告

    〔安全使用上の注意〕
    本剤は医薬用外毒物につき取扱いに十分注意する。

行為の強制マーク

注意(警告を含む)事項を記載した文章の頭に表示します。
色:青(または文字使用色)

マークの種類

絵表示マークと注意事項【例】

マスク着用

マスク着用

散布時は、農薬用マスク(防護マスク)を着用する。

吸収缶(活性炭入り)付き防護マスク着用

吸収缶(活性炭入り)付き防護マスク着用

投薬作業の際は、吸収缶(活性炭入り)付き防護マスクを着用する。

保護メガネ着用

保護メガネ着用

散布液調製時は、保護メガネを着用し、薬液が眼に入らないように注意。

不浸透性手袋着用

散布時は、不浸透性手袋を着用する。

散布時は、不浸透性手袋を着用する。

不浸透性防除衣着用

不浸透性防除衣着用

散布時は、不浸透性防除衣を着用する。

厳重保管

厳重保管

必ず農薬保管庫(箱)に入れ、カギをかけて保管する。

その他

その他

その他、行為の強制を喚起する事項の場合

行為の禁止マーク

注意(警告を含む)事項を記載した文章の頭に表示します。
色:その他は赤、絵は黒(または文字使用色)

マークの種類

絵表示マークと注意事項【例】

河川流出禁止(魚介類注意)

河川流出禁止

魚毒性等…水産動植物(魚類)に強い影響あり。河川、湖沼及び海域等に飛散・流入しないよう注意。養殖池周辺での使用はさける。

桑園付近使用禁止(カイコ注意)

桑園付近使用禁止

蚕に長期間毒性があるので、付近に桑園がある所では使用しない。

かぶれる人使用禁止(カブレ注意)

かぶれる人使用禁止

かぶれやすい人は作業しない。施用した作物などに触れない。

ハチ巣箱への散布禁止(ミツバチ注意)

ハチ巣箱への散布禁止

ミツバチの巣箱及びその周辺に飛散するおそれがある場合には使用しない。

施設内使用禁止

施設内使用禁止

ハウス内や噴霧のこもりやすい場所では使わない。

飲用禁止

飲用禁止

飲めません または 飲用禁止

その他

その他

その他使用禁止の場合

ラベルの表示事項

容器に巻きつけた長尺ラベル等では、裏面を見落とさぬようにする。

表示事項

表示内容

備考

登録番号

農林水産省に登録されている番号

登録番号のないものは農薬として販売できない。

適用種別の表示

殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの用途を示す

これを見誤ると、効果がなかったり、農作物を枯らす事故につながることがある。

名称及び種類

製品名、種類名(有効成分一般名と剤型)を示す

種類名が同じでも製品名が異なるものがある。

毒物、劇物の表示

毒劇物に該当する農薬は、
医薬用外毒物と赤地に白抜き文字で表示
医薬用外劇物と白地に赤の文字表示

毒物・劇物に該当する農薬の購入に当たっては、法令に従い譲受書に記入捺印する。また、取扱いに注意する。

危険物の表示

危険物に該当する農薬は、第2石油類・火気厳禁など、消防法による表示

この表示がある農薬の保管場所は火気厳禁である。指定数量以上の貯蔵は、危険物倉庫に貯蔵する。

指定農薬の表示

水質汚濁性農薬に指定されている農薬を示す

水質汚濁性農薬の使用は、都道府県知事の許可が必要な場合もある。

成分

有効成分の化学名と含有量、その他成分と含有量を通常は含有比率(%)で示す

例 〇〇ホスフェート…30.0%
  有機溶剤、乳化剤等…70.0%

性状

製剤の物理的化学的性状。色調、形状などを示す。「本サイトでは物理的化学的性状を「性状」と表記」

例 類白色粉末45μm以下 等

内容量

包装の内容量を、重量または容量で示す

例 3kg入 500ml入 等

以下の項目は、適用病害虫(雑草)名と使用方法として表組みで示される

作物名、適用場所

使用できる作物名を示す
除草剤の一部では、使用できる場所を示す

記載以外の作物には使用しない。

適用病害虫雑草名・使用目的

有効な病害虫、雑草名などを示す

(幼虫)など、有効な生育ステージを示す場合がある。

希釈倍数・散布液量、使用量

薬効、病害等から使用する際の希釈倍数・散布液量、使用量を示す

通常希釈倍数又は10a当たり使用量で表示される。表示以上の濃度・量で使用すると薬害の原因となったり、収穫物への残留基準を超える恐れがある。

使用時期、総使用回数

収穫物への残留農薬基準を超えないよう使用できる収穫前日数と総使用回数を示す

除草剤等で効果や薬害面から使用期間が制約される場合は、実際に使用できる時期が表示される。

使用方法

散布、かん注等の使い方を示す

表の外に記載されることもある。

効果・薬害等の注意

効果、薬害などの面から使用上の注意事項を示す

この部分を見落とすと、効果不足や薬害を引き起こすことがある。

安全使用上の注意

着用すべき防護具、蚕・魚介類などの注意、輸送・保管・廃棄上の注意、毒物・劇物では解毒法などを示す

特に注意を要する事項は、注意喚起マークが表示される。

その他

保管条件、最終有効年月、製造場とその住所、ロット番号などが表示される。